アレルギー性鼻炎

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アレルギー性鼻炎は、鼻の粘膜に異物が付着すると、それを取り除こうとして防御反応が過剰におこり、くしゃみや鼻水、鼻づまりをおこす病気です。繰り返して異物(抗原)が入ると、体内には抗体ができ、抗原が入ると抗原抗体反をおこし、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみが発現します。抗原としては、ハウスダスト、ダニ、花粉、ペット、カビなどがあります。
症状のおこる時期により、通年性アレルギー性鼻炎、季節性アレルギー性鼻炎という呼び方をされます。ハウスダスト、ダニ、カビは一年中あるため、年間を通じて症状が出やすいですが、ダニは秋に症状が増悪しやすく、花粉症も春のスギ、ヒノキ以外の季節に様々な花粉が飛んでおり、1年中花粉症に悩まされている患者さんもあります。
鼻の粘膜の観察、鼻汁中の好酸球(アレルギーで増える細胞)、血液中の抗体測定をおこなって診断ができます。小さなお子さんで血液検査が難しい場合は、鼻汁を少しだけ拭って調べます。
治療は、アレルギーの症状を抑える薬物療法が中心です。抗アレルギー薬の内服、ステロイド薬の鼻スプレーなどを患者さんの症状によって選択します。重症な方には、注射による治療も選択肢となります。
根本的治療としては、スギ花粉、ダニアレルギーに限り、体質改善によりアレルゲンに対して免疫をつけることを目的とした舌下免疫療法があります。
鼻の粘膜の腫脹が強い場合には、レーザ-の焼灼を行うことがあり、これは当院でできます。鼻中隔湾曲が強い場合は、手術で近隣の病院へご紹介します。

舌下免疫療法

舌下免疫療法は、スギ花粉症やダニによるアレルギー性鼻炎の根本的治療法です。治療期間は長くかかるものの、毎日アレルゲンを含む錠剤を舌の下に入れて飲むことで、体質改善をします。以前は注射でおこなっていましたが、舌下免疫療法では、通院回数も開始後1週間目、1ヶ月後に来院していただき、問題がなければ、2ヶ月に1回の通院ですみます。1回目の開始時は舌下後30分院内で問題の反応がないかを確認します。できれば3年~5年間は治療を続けます。スギ花粉の場合、治療開始時期は、花粉が飛散しなくなった6月ごろからとなります。

舌下免疫療法に同文掲載

副鼻腔炎

副鼻腔炎は、鼻の周りの副鼻腔 という空洞(上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞)が炎症を起こしている状態です。以前は「蓄膿症」といわれていました。風邪の後などの急性期には、ドロッとした悪臭のする鼻汁、鼻づまり、頬やの痛み、頭痛、嗅覚の低下があり、抗生剤などの内服、鼻処置やネブライザーなどの治療をおこないます。通常発症から1~2週間で症状が治まりますが、症状が続く時は慢性化した慢性副鼻腔炎となっていて、内視鏡やレントゲン、CTなどの検査が必要となります。鼻にポリープがある場合には、手術の適応となることがあります。現在は内視鏡を用いた手術が一般的で、歯茎を切ることはなく、術後に顔が腫れることはありません。
近年では、好酸球性副鼻腔炎といって、アレルギーとの関連が強い副鼻腔炎の方が増えています。喘息の合併、嗅覚の障害、鼻ポリープが主な特徴で、多くは手術の適応となりますが、その後の管理が重要です。
長引く鼻の症状は、ぜひ耳鼻咽喉科受診をなさってください。

鼻出血

鼻の粘膜は血管が豊富です。鼻の穴を左右にわけている壁(鼻中隔)の入り口付近のところはキーゼルバッハ部位といわれ、血管がネットワークを作り集中しています。ここからの出血が8~9割になります。鼻をいじる、ぶつけるという外傷の他、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、腫瘍などでもおきます。持病として、高血圧、糖尿病、肝臓病、脳梗塞や心筋梗塞の治療で血液をサラサラにする薬も関係しています。
対応としては、小鼻をつまんでやや下をむいて、血液を飲まないように気をつけて安静にしていると10分ぐらいで止血することが多いです。
まれに鼻の後方から出る出血は多量にでることがあります。多量に出て20分しても止まらない、出血がのどに流れて出てくると場合は救急の対応が必要です。まれですが、発熱がある場合は血液の病気であることがありますので、耳鼻咽喉科を受診してください。

嗅覚障害

嗅覚の神経は鼻の中心の上の部分の粘膜に分布(嗅上皮)していて、そこに匂いを含んだ空気が到達することで、匂いが感じられます。風邪のウイルスで嗅上皮が障害されるとしばしば高度の嗅覚低下となります。鼻の病気(鼻中隔湾曲症、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎など)で鼻づまりがひどいと、嗅上皮まで空気が到達しなくなり、匂いがわからなくなります。
まず鼻の中を内視鏡でしっかり観察し、いろいろな匂いをかぐ検査、嗅神経の働きをしらべるアリナミンの静脈注射などの検査をします。治療は原因になっている病気の治療となります。

鼻副鼻腔腫瘍

副鼻腔のがんは、各副鼻腔が骨に囲まれているため、症状がわかりにくく、ある程度進行してから症状が出ます。片側だけ鼻づまり、鼻出血、悪臭がする鼻水、頬の腫れ、視力障害など、腫瘍の進展方向でさまざまな症状となります。まずはCTによる検査がおこなわれます。手術が必要になることが多く、頭頸部腫瘍に治療に定評のある施設をご紹介しています。